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「多焦点眼内レンズ(intraocular lens,以下IOL)を用いた水晶体再建術」は2007年に厚生労働省に承認され,2008年に先進医療に認定された。国内未承認の多焦点IOLは自由診療で行われているが,国内承認の多焦点IOLは厚生労働省承認機関における手術で先進医療が使用でき,患者は少ない自己負担で最新の手術を受けることができる。現在先進医療が使用できるのは,2焦点IOL〔TecnisⓇ Multifocal(AMO社),iSiiⓇ(HOYA社),ReSTORⓇ(Alcon社),ACTIVEFOCUSTM(Alcon社)〕と焦点深度拡張型(extended depth of focus:EDoF) IOL〔SymfonyⓇ(AMO社)〕だけであり,2019年3月現在,3焦点IOLは使用できない。しかし3焦点IOLであるPanOptixⓇ(Alcon社)が2019年2月20日にノントーリック,トーリックともに国内の承認取得が完了しており,同年秋頃より発売開始予定である。3焦点IOLが先進医療適応IOLに加われば,遠方,中間,近方と広い明視域が得られるため,2焦点IOLやEDoF IOLに代わって普及していくと予測される。一方では先進医療から多焦点IOLが除外される可能性があり,いずれはすべての多焦点IOLが自由診療で施術されると考えられる。多焦点IOLのテクノロジーは急速に進化しており,私たちの日常生活にもたらす利便性を考えると,自費診療になっても症例数は増え続けると考えられる。この特集は「眼内レンズ度数計算の最新情報」であるが,3焦点IOLは,従来の2焦点IOLやEDoF IOLと計算方法は変わらない。ここでは今後増えると予測される3焦点IOLについて,IOLのスペックや臨床データは既報を参考にしていただき,IOLの光学設計などに関して2焦点と比較しながら述べたいと思う。
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