連載 論文を理解するための統計学【重回帰分析篇】・3
多変量解析ならではの説明変数間の関連と組み合わせ
中山 和弘
1
1聖路加看護大学
pp.419-430
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100333
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説明変数間の相関と回帰係数の関係
◆単相関と標準回帰係数は,そうは一致しない
前回,標準回帰係数βの値を相関係数のようにみるという話をしました。しかし,それは目的変数と説明変数の単相関(普通の相関係数ですが,多変量解析でないときに区別して使います)の値とは,違っていることがほとんどです。単相関よりも大きくなったり小さくなったりします。
しかしβは,ある条件のとき,単相関と一致します。それは,説明変数間の相関係数がすべて0のときです。次の図1のように,目的変数Yに対して,説明変数X1,X2,X3が独立して影響しているときです。
そのときは,あまり重回帰分析をする意味がないのです。わざわざそれをしなくても,βは単相関と同じであることがわかっているからです。重決定係数も,個々の決定係数(図の網掛けの部分)が重なっていないので,その合計と一致するので,計算の必要がなくなります。
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