原著
網膜色素変性の経時的評価におけるFunctional Vision Scoreの有用性について
巣山 亜紀子
1
,
平塚 義宗
1
,
村上 晶
1
1順天堂大学医学部附属順天堂医院 眼科
キーワード:
Functional Vision Score(FVS)
,
網膜色素変性
,
経時的評価
,
身体障害者該当等級
,
関連因子
,
retinitis pigmentosa
,
evaluation over time
,
equivalent levels of physical disabilities
,
related factor
Keyword:
Functional Vision Score(FVS)
,
網膜色素変性
,
経時的評価
,
身体障害者該当等級
,
関連因子
,
retinitis pigmentosa
,
evaluation over time
,
equivalent levels of physical disabilities
,
related factor
pp.1393-1400
発行日 2018年10月5日
Published Date 2018/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000903
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目的
視力と視野の状態をスコア化し統合するために考案されたFunctional Vision Score (FVS)は視覚障害の評価法として米国医学会が推奨し現在8か国で使用されている。網膜色素変性(RP)患者の経時的評価におけるFVSの有用性について検討する。
対象と方法
対象は2003年4月から2017年11月に順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科を受診しFVSを算出できたRP患者150例。視力値から視力スコアを,Goldmann視野(Ⅲ/4e含む)から視野スコアを算出し,FVSを求めた。身体障害者該当等級とFVSの関連,および,FVSの悪化に関連する因子について検討を行った。
結果
150例の内訳は女性53.3%,平均年齢は50.5±16歳であり,FVSの平均値は36.7±23.1であった。うち身体障害者等級該当者は149名で1級9名,2級101名,3級4名,5級35名であった。級数とFVSの間には中等度から強い正の相関が認められた(相関係数0.69,95%CI:0.60-0.77,P<0.0001)。2回以上の測定歴があり経時的評価が可能な38例では,平均55.1±33.1か月の経過でFVSが53.3±25.2から41.4±23.7に低下していた。FVSの悪化に寄与する因子は,FVSの初期値が有意ではないものの関連する傾向が認められ(ハザード比1.02,95%CI:1.00-1.05,P=0.05),年齢,性別との関連は認められなかった。
結論
FVSはRPの経時的変化の評価に有用でありその活用により関連因子の同定,予後の予測など幅広い応用が期待される。
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