特集 サルコイドーシス アップデート
3 病因としてのPropionibacterium acnes
永田 健児
1
1京都府立医科大学眼科学教室
キーワード:
サルコイドーシス
,
Propionibacterium acnes
,
PAB抗体
,
マクロファージ
Keyword:
サルコイドーシス
,
Propionibacterium acnes
,
PAB抗体
,
マクロファージ
pp.1339-1343
発行日 2018年10月5日
Published Date 2018/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000894
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サルコイドーシスは原因不明の多臓器疾患で,組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を特徴とする疾患であるとされてきた。その病態は徐々に解明されつつあり,発症には遺伝的素因,病因抗原となる感染,環境因子等が関与すると考えられている。疾患感受性のある個体に,本項のテーマであるPropionibacterium acnes(P. acnes)等を病因抗原として,Th1タイプの細胞性免疫反応が生じ,全身諸臓器に肉芽腫性炎症が発症すると考えられるようになってきた。サルコイドーシスは結核と同様に肉芽腫性疾患であり,組織学的には乾酪壊死の有無が大きな違いであるが,類似点が多く,サルコイドーシスの病因抗原としては,欧米ではマイコバクテリウムが重要な役割を担っていると考えられてきた。実際,眼科領域においてもぶどう膜炎では,サルコイドーシスと結核性ぶどう膜炎は類似した眼所見がみられる。一方で,本邦においてはP. acnesが最も重要なサルコイドーシスの原因と考えられてきた。本項では,P. acnesがサルコイドーシスの病因抗原と考えられるようになった背景から,眼科領域での解析結果を述べ,P. acnesがどのように全身諸臓器に到達するかについて考察する。
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