Ⅱ.所見からみた診断の進め方
8 その他 4)高眼圧
徳田 直人
1
1聖マリアンナ医科大学眼科
pp.1319-1323
発行日 2018年9月30日
Published Date 2018/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000870
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高眼圧(ocular hypertension)は,眼圧が統計学的に定められた正常上限を超えた状態と定義できる。この定義に従うためには統計学的に定められた眼圧の正常値が必要となる。本邦で2000年から2002年にかけて行われた緑内障疫学調査(通称:多治見スタディ)1)によると,緑内障のない健常成人における眼圧の平均は14.5±2.5mmHgであったと報告されている。その他の報告なども参考にすると,本邦における健常成人の眼圧の正常上限は20mmHgとすることが一般的といえる2)。健常成人の眼圧は14.5mmHgを頂点に正規分布とはいえないものの,それに近い分布を示していることから,日常臨床において眼圧が20mmHgを越える例は割合としては低い。しかし,眼科診療において眼圧測定は頻繁に行われる検査であるため,日常診療で高眼圧を目にすることは少なくない。高眼圧といっても20mmHgを越えるとそれが病的な変化に直結するわけではないし,20mmHg程度の症例と40mmHgを越えるような症例とでは同じ高眼圧というカテゴリーにおいても緊急性や対応も大きく異なるため,その解釈を正しく行うことは重要である。そこで本稿では臨床で遭遇する高眼圧について,具体的な例を挙げつつ解説する。
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