Ⅱ.所見からみた診断の進め方
6 水晶体 3)落屑物質・水晶体沈着物質
久保 江理
1
1金沢医科大学眼科学講座
pp.1247-1250
発行日 2018年9月30日
Published Date 2018/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000859
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Exfoliation syndrome(落屑症候群)は,白い繊維状でアミロイド様の偽落屑物質(PEX)が,虹彩瞳孔縁や水晶体前面,Zinn小帯,隅角,毛様体などのほか角膜内皮や結膜内に蓄積し,沈着する結合組織疾患である(図1)。このPEXはさまざまな眼組織だけでなく,皮膚,外眼筋,心臓,肺,腎臓,胆嚢などの間質,髄膜,血管内壁など全身で検出されることから,現在では落屑症候群は全身性疾患と考えられている。以前はpsuedoexfoliation syndrome(偽落屑症候群)と呼ばれていたが,真性落屑がごくまれであることより,落屑症候群という用語を用いることが一般的になった。落屑症候群は,60代以上の30%に観察され,高齢になるほど罹患率が上昇する1)。落屑症候群においては,遺伝的要素の関与が指摘され,lysyl oxidase-like 1 (LOXL1)遺伝子の遺伝子多型が,発症に関与していることが報告されてきた2)。しかし,他の遺伝子異常や,環境因子も発症に関与している可能性がある。
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