今月の表紙
水晶体真性落屑
山口 純
1
,
中澤 満
2
1北里大学病院
2弘前大学
pp.17
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103051
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症例は92歳,女性。2008年5月に左眼の白内障手術のため当院を紹介され受診した。当院受診時,視力は右光覚弁,左0.2(0.5),眼圧は右56mmHg,左18mmHgであり,右眼は絶対緑内障であった。2年ほど前から右眼は徐々に見えなくなっていたが,眼科を受診しなかった。右眼の角膜は混濁しており,偽落屑を水晶体前面に認め,核硬化はEmery-Little分類にてgrade 3であった。視神経乳頭は完全陥凹で,やや蒼白であった。
左眼は角膜に異常を認めず,前房内中央の下方やや内側にセロファン状物質が水晶体前囊から連続して垂れ下がっており,水晶体真性落屑を認めた。眼球運動により動揺し,散瞳下でもその位置に変化はなかった。水晶体は前囊下・後囊下白内障を認め,核硬化はEmery-Little分類にてgrade 2であった。眼底は傍乳頭網脈絡膜萎縮を認め,陥凹乳頭比は0.7であった。患者はこれまで,特に高温下での仕事はしていなかった。右眼は手術適応なし,左眼は同年6月に超音波乳化吸引術,眼内レンズ挿入術を施行した。
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