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3D Visual Function Trainer-ORTe(以下,ORTe:ジャパンフォーカス社)は日常臨床に必要な複数の自覚的視機能検査および視能訓練を高い検査効率で短時間に施行することを目的とした視機能検査・訓練装置である。ORTeは視力検査(通常遠見視力検査),視力検査(両眼開放下片眼視力検査),同時視検査(眼位検査含む),融像検査(融像幅測定含む),近見立体視検査,遠見立体視検査,Visual Function Trainer(VFT)-HESS検査(9方向眼位検査),VFT-Striated glass Test,VFT-4Dots Test,三杵法検査,VFT-Aniseikonia検査,Preferential Looking法の計12の検査法,および弱視・斜視訓練が可能である1)2)(図1)。これまでも多目的視機能検査装置の開発はさまざま取り組まれていたが,臨床機器としては機能に制限があった。その原因は視標を提示する3Dモニタのクロストーク(右眼映像と左眼映像の漏れ)の制御が困難であったことが最大の要因である。2010年以降,3Dモニタの基本性能が格段に向上したことを背景に,ORTeは有効検査角30°の専用フルハイビジョン3Dモニタを搭載している。またORTeの両眼分離には偏光眼鏡方式が採用されている。偏光眼鏡には直線偏光と円偏光がある。これまで眼科臨床における両眼分離には直線偏光(Titmus Stereo Tests)が用いられてきた。直線偏光は映像提示面と眼鏡の傾きズレに弱く,少しでも眼鏡(患者頭部)が傾くと両眼分離が崩れてしまう欠点があった。直線偏光の問題点を解消するために,ORTeは円偏光眼鏡による両眼分離を採用しており,直線偏光に比べて頭部の傾斜による両眼分離の崩れを大幅に軽減している。ORTeで測定された検査結果はシノプトフォアやHESS赤緑試験の検査結果と高い互換性を持つことが示されている3)。ORTeでは従来の自覚的視機能検査がコンピュータグラフィックスにより簡便で応用範囲が広く再現されている反面,従来の自覚的視機能検査の原理を改めて確認する必要がある。また,ORTeの検査距離や両眼分離法は従来の検査法と異なるため,検査結果の解釈について十分な理解が必要である。
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