綜説
加齢黄斑変性症(AMD)感受性遺伝子
本田 茂
1
1神戸大学大学院医学研究科外科系講座眼科学分野
キーワード:
加齢黄斑変性(AMD)
,
感受性遺伝子
,
遺伝子多型
,
補体H 因子
,
ARMS2/HTRA1
Keyword:
加齢黄斑変性(AMD)
,
感受性遺伝子
,
遺伝子多型
,
補体H 因子
,
ARMS2/HTRA1
pp.243-249
発行日 2018年3月5日
Published Date 2018/3/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000587
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現在,多くの疾患は遺伝要因と環境要因によって発症および進行すると考えられている。このうち遺伝要因においては遺伝子多型(polymorphism)を代表とする遺伝子の個人差が関与していることが広く認められており,成人型糖尿病,がん,脳卒中や虚血性心疾患などの病態やリスクを説明することに用いられている。遺伝子多型とは母集団において1%以上の頻度で存在する遺伝子構造(塩基配列)の違いと定義され,SNP(singlenucleotide polymorphism,一塩基多型),挿入/欠失多型,コピー数多型などを含む概念である。つまり,遺伝子多型とは“遺伝子の個人差”であり,同じ“ヒト”であっても身長や顔貌が違うこと,また人種が存在することにも関連する。この遺伝子多型が特定の遺伝子の発現量や構造または性質に影響を与え,それがある疾患と有意に関連することが証明される場合,その遺伝子を疾患の感受性遺伝子と呼ぶ。これは単一遺伝子の異常による遺伝疾患の責任遺伝子を原因遺伝子と呼ぶのに対して,多因子疾患では必ずしもひとつの遺伝子異常だけでは発症せず,病気へのなりやすさを規定するに留まることによる。
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