眼科手術の適応―最新情報
6.白内障 3)小瞳孔マネージメント
佐藤 孝樹
1
,
池田 恒彦
1
1大阪医科大学眼科学教室
キーワード:
小瞳孔
,
瞳孔拡張リング
,
虹彩リトラクター
Keyword:
小瞳孔
,
瞳孔拡張リング
,
虹彩リトラクター
pp.1174-1178
発行日 2017年9月30日
Published Date 2017/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000159
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白内障手術は手術機器,手技の進歩により,種々の難治例でも合併症なく円滑に施行できるようになってきている。以前なら水晶体嚢外摘出術を行っていた核硬化度の高い症例でも,超音波水晶体乳化吸引術が可能となってきている。手術自体が洗練されてきたとはいえ,十分な視認性が確保できないと安全な手術は難しくなり,特に瞳孔の大きさは手術の難易度に大きく影響を与える。ある程度の小瞳孔例では,熟達すれば瞳孔を拡大しなくても手術が可能であるが,種々の眼底疾患を有する症例では,術後の眼底観察が容易になるように白内障手術時に工夫をする必要がある。糖尿病網膜症併発例などで小瞳孔のまま白内障手術を行うと, どうしてもCCC(continuous linearorrhexis)が小さくなりがちとなり,術後の前嚢の混濁や収縮が生じると,周辺部までの眼底観察および網膜光凝固が難しくなる場合がある。そのようなケースでは,場合によっては硝子体手術により網膜光凝固を行わないといけなくなる(図1,2)。そのため,特に眼底疾患を伴う白内障手術時には,CCC を大きくするように心がけたり,小瞳孔に対して白内障手術時に適切な処置を行っておく必要性がある。
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