特集 脳神経・頭頸部の画像診断update
症例
MRIにて経過を追えたSheehan症候群の1例
大出 創
1
,
林 高樹
,
岡部 尚行
,
竹山 信之
,
堀 祐郎
,
橋本 東児
,
今井 秀之
,
小泉 剛
,
遠藤 慶
,
佐藤 尚太郎
,
大塚 史子
,
谷山 松雄
,
長坂 昌一郎
1昭和大学藤が丘病院 放射線科
キーワード:
下垂体機能低下症
,
産褥障害
,
MRI
,
尿崩症-神経原性
,
ホルモン補充療法
Keyword:
Hypopituitarism
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Puerperal Disorders
,
Hormone Replacement Therapy
,
Diabetes Insipidus, Neurogenic
pp.1683-1686
発行日 2016年11月10日
Published Date 2016/11/10
DOI https://doi.org/10.18888/J01565.2017096482
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症例は34歳女性で、経腟分娩にて出産した際に大量出血を認め、輸血・子宮摘出術を施行した。倦怠感、嘔気・嘔吐、乳汁分泌低下を認め、産後5日目に頭部造影MRIを施行した。T1強調像の矢状断像及び冠状断像にて鞍上部に突出するように下垂体の腫大を認めた。造影T1強調冠状断像では本来の下垂体の造影効果は消失し、辺縁のみが造影された。血液検査にて、低ナトリウム血症を伴った汎下垂体機能低下症及び潜在性尿崩症を認めた。画像所見と併せてSheehan症候群と診断した。汎下垂体機能低下症に対しホルモン補充療法を開始し、潜在性尿崩症については経過観察を継続した。約20日目のMRI画像ではT1強調像の矢状断にて下垂体の腫大は改善した。造影T1強調像では造影効果は辺縁に認め、内部は造影不良のままであった。約180日目のT1強調像では下垂体は萎縮し、empty sellaの所見を呈し、Sheehan症候群の終末像として矛盾しない所見と考えられた。
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