特集 薬疹・薬物障害
広範なびらんを呈したホウ酸中毒の1例
濱中 裕子
1
,
井上 雅子
,
森下 佳子
,
川西 裕之
,
長井 昭宏
,
平崎 盟人
,
大宮 照明
1香川県立中央病院 皮膚科
キーワード:
鑑別診断
,
急性腎障害
,
中毒
,
表皮壊死融解-中毒性
,
ホウ酸
,
血液透析濾過
,
びらん
Keyword:
Boric Acids
,
Diagnosis, Differential
,
Poisoning
,
Stevens-Johnson Syndrome
,
Hemodiafiltration
,
Acute Kidney Injury
pp.31-35
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2017115815
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81歳女。全身の紅斑、臀部のびらんを主訴とした。下痢・食思不振、意識障害、無尿を認め、下痢による急性腎不全の疑いで緊急入院となり、持続的血液濾過透析(CHDF)などの集学的治療を行うも血圧維持は困難で、無尿・ショック状態・高度アシドーシス・凝固能異常・多臓器不全・汎血球減少が続いた。また、背部から臀部、四肢の荷重部に一致して広範なびまん性紅斑、びらん・水疱を認め、中毒性表皮壊死症などが鑑別にあがったが、創処置によりびらんは数日間で上皮化傾向を示し、落屑や可逆的な全頭脱毛がみられた。多彩な全身症状と皮疹の経過よりホウ酸中毒が疑われ、血中ホウ酸濃度が異常高値を示したためホウ酸中毒と診断した。広範なびらんをみた場合にはホウ酸中毒も鑑別のひとつにあげるべきであり、本症例は極めて重篤な全身状態を呈したが、急性期よりCHDFを開始したことで救命し得た。
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