症例
陰茎左側に多発した疣贅状被角血管腫の1例
權守 隆
1
,
濱崎 洋一郎
,
小池 真美
,
神永 朋子
,
林 周次郎
,
籏持 淳
1獨協医科大学 皮膚科
キーワード:
陰茎腫瘍
,
静脈圧
,
被角血管腫
,
皮膚腫瘍
,
免疫組織化学
,
ナットクラッカー症候群
Keyword:
Angiokeratoma
,
Immunohistochemistry
,
Penile Neoplasms
,
Skin Neoplasms
,
Venous Pressure
,
Renal Nutcracker Syndrome
pp.1551-1554
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016404567
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80歳男。陰嚢部皮疹からの出血を主訴とした。陳旧性心筋梗塞・慢性心不全・心房細胞に対して抗凝固薬などを内服中であり、2年前から陰嚢に暗紅色丘疹、陰茎左側に疣贅状・角化性の小結節が多発していたが、陰茎右側に皮疹は認めなかった。陰茎部皮疹の病理組織所見で著明な過角化、表皮直下の真皮乳頭内に大きく拡張し、血液を充満した毛細血管を認め、被角血管腫と診断した。また、女性化乳房を認め、入院後の精査で肝硬変と診断された。特異な臨床所見を呈した要因として、エストロゲンによる血管内皮細胞の増生や血管拡張作用、肝硬変による静脈圧亢進との関連が示唆された。皮疹が陰茎左側に片側性の分布を示した機序の一因として、腎静脈のナットクラッカー現象が考えられた。
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