発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014039725
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81歳男。既往として高血圧、糖尿病、関節リウマチがあった。今回、全身倦怠感と両側肘膝関節痛で近医を受診、貧血を指摘され、著者らの施設へ紹介となった。所見では末梢血で正球性正色素性貧血と網状赤血球の増加が認められたが、白血球と血小板減少はなかった。一方、生化学では間接ビリルビンとLDHの軽度増加がみられるも、ハプトグロビンは検出感度以下であった。また、血清学ではIgGとIgAの上昇、リウマトイド因子(RF)、抗CCP抗体、MMP-3の上昇ほか、直接・間接Coombs試験、寒冷凝集では陰性であるも赤血球結合IgG分数は増加していた。以上より、本症例はCoombs陰性自己免疫性溶血性貧血(AIHA)と診断され、治療は血糖コントロールと心肺機能の不良から耐術能はなく、副腎皮質ステロイドの長期投与は困難と判断し、rituximab療法を開始した。その結果、重篤な有害事象は認めず貧血症状は改善、パプトグロビンも基準値となり、両側肘膝関節痛も良くなり、RFと抗CCP抗体価も低下した。
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