特集 血管炎・血行障害
急性無症候性脳梗塞を合併した皮膚型結節性多発動脈炎の1例
清水 愛
1
,
長田 真一
,
亦野 蓉子
,
川名 誠司
,
船坂 陽子
,
佐伯 秀久
1日本医科大学附属病院 皮膚科
キーワード:
Prednisolone
,
鑑別診断
,
多発動脈炎-結節性
,
脳梗塞
,
Sneddon症候群
,
MRA
,
無症候性疾患
,
皮膚結節性動脈周囲炎
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Polyarteritis Nodosa
,
Prednisolone
,
Magnetic Resonance Angiography
,
Sneddon Syndrome
,
Brain Infarction
,
Asymptomatic Diseases
pp.509-512
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016280947
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症例は65歳男性で、両下肢(左優位)に疼痛、痺れが出現し、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を内服したが増悪し、間欠性跛行を呈し、両側大腿~足部に分枝状皮斑が出現した。左下腿皮斑部に一致し疼痛、痺れがあり、左第2趾は暗紫色に変色し冷感、疼痛を伴った。ESR、CRPなど炎症反応上昇がみられた以外、特に異常はなかった。脳MRAで両側の外側線条体動脈穿通枝領域に急性期の梗塞巣がみられ、複数の、陳旧性梗塞巣も散見された。胸腹部CT、骨盤~下肢造影CTでは動脈狭窄や内臓病変を認めなかった。神経学的検査でアキレス腱反射低下に加え、左脛骨神経の神経伝導速度が遅延していた。病理組織学的所見は左下腿の分枝皮斑の弱拡大像で真皮下層の血管に閉塞像を認めた。強拡大像では赤血球の血管外漏出、血管壁のリンパ球と組織球の浸潤がみられた。内腔は核塵を伴う同心円状のフィブリノイド変性物質で閉塞していた。Elastica van Gieson染色で内弾性板の一部が断裂していた。以上より、真皮下層の小動脈の壊死性血管炎、病理組織学的に皮膚型結節性多発動脈炎(CPN)と診断した。入院し、安静のもと、アルプロスタジル、サルポグレラート塩酸塩、シロスタゾールを投与したが、疼痛、痺れ、皮斑の改善はみられず、38℃台の発熱、全身倦怠感、CRP上昇を認めたため、プレドニゾロン(PSL)投与を開始したところ、速やかに解熱し、CRP、下肢痛も改善した。PSLを漸減し、症状の再燃なくPSL 9mg/日で維持されている。
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