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症例は13歳女児で、2週間前から口渇、多飲の増悪があったが、夏季休暇中で部活動も多忙のため気に留めなかった。学校検尿一次で尿糖1+、検尿二次で尿糖2+であったが放置された。夜間頻尿を認めた。その後、息が半分しかできない、息がしにくいと訴え、1日中、臥床して過ごした。翌日、朝から飲水のたびに嘔吐があり、背部痛があり、内科を受診し、様子観察となった。受診時にはずっとぼんやりしており、意思の疎通が困難であった。その後、背部痛が強く、息ができないとして紹介受診となった。脈拍138/分、体温36.1℃、呼吸数36/分、発熱なく、咽頭発赤なく、呼吸音は清明であるが痛みのため、大きな呼吸となっていた。心雑音はなく、腹部は軟らかく発疹は認めなかった。胸部X線、胸部CTで縦隔気腫を認めた。意識レベルの低下と傾眠傾向が認められた。8時間後に再度採血検査を行い、静脈血液ガス検査でpH 6.945、pCO2は17.3mmHg、pO2は51.2mmHg、HCO3は3.6mmol、BE-28.9mmol/L、血糖値1000mg/dL、尿糖4+、HbA1c 10.8%と糖尿病性アシドーシスを認めた。抗GAD抗体120U/mL、抗1A-2抗体6.9U/mL、抗インスリン抗体陰性で、1型糖尿病と考えた。縦隔気腫の原因はKussmaul呼吸によるもので、Hamman症候群と診断した。速効型インスリン0.1単位/kgを投与し、持続的にインスリン投与を継続した。輸液は半生理食塩水を基本に多量の輸液を行った。入院翌日には意識状態も改善し、呼吸数も低下、背部痛も消失し、輸液量を減量し輸液内容も低張維持液とした。同日より経口摂取と経皮インスリン投与を開始できた。頭痛を訴えたことから頭部MRIを撮像したが異常は認めなかった。頭痛は数日かけ改善・消失した。その後、インスリン皮下注投与量の調節を行い、入院20日で退院した。
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