発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2003164399
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85歳男.64歳時I型糖尿病と診断され,インスリン持続性皮下注入(CSII)療法が導入された.76歳時右胸膜炎を併発した.83歳時,抗核抗体価高値,直接Coombs試験陽性,抗血小板抗体陽性などから,Evans症候群と診断した.血清総タンパクは9.9g/dlと著増し,rグロブリンは59.3%に達し,IgGおよびIgAポリクロナールな増加を伴った.prednisoloneの経口投与で血清総タンパク濃度や血清補体価の正常化が得られた.外来での定期管理を継続していたが85歳から労作時の動悸・呼吸困難を自覚した.pilsicainide hydrochlorideの投与が開始され心房細動は除かれたが頻拍は持続した.合わせて腰痛が増悪し,腰椎の圧迫骨折によるものと判断した.腰痛の緩和は得られず,食思も改善せず,突然の重症不整脈にて死亡した.剖検病理組織所見で膵島はB細胞が完全に消失していたが,A細胞の残存が認められた.腎臓の糸球体硬化はびまん型で,高度の結節性病変は認めなかった.重症不整脈が直接の死因と考えられた
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