症例
妊娠を契機に診断され増悪した神経性食欲不振症合併妊娠の2例
井上 双葉
1
,
梅澤 聡
1武蔵野赤十字病院 産婦人科
キーワード:
妊娠悪阻
,
神経性やせ症
,
胎児発育遅滞
,
帝王切開術
,
妊娠合併症
,
吸引分娩術
,
母性年齢35歳以上
,
病勢悪化
,
緊急手術
Keyword:
Anorexia Nervosa
,
Cesarean Section
,
Fetal Growth Retardation
,
Hyperemesis Gravidarum
,
Pregnancy Complications
,
Vacuum Extraction, Obstetrical
,
Disease Progression
pp.1821-1828
発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00535.2017099173
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妊娠を契機に神経性食欲不振症(AN)と診断され、増悪した2例について検討した。症例1は37歳で、BMI 15.6kg/m2(標準体重の71%)で計画外妊娠、症例2は34歳、BMI 16.6kg/m2(標準体重の76%)で体外受精による妊娠であった。2例とも病識は欠如し、妊娠初期より後期まで重症妊娠悪阻を生じたため栄養指導、末梢静脈栄養、精神科による医療介入を行ったが反応不良であった。その結果、母体体重増加不良で子宮内胎児発育不全と早産、周産期合併症をきたした。症例1は妊娠中から精神科と連携し児への愛着形成を行ったが、症例2は精神科の介入が遅れた。以上より、AN寛解前の計画外妊娠や生殖補助医療は避け、低体重の患者で無月経の症例や妊娠中に重症妊娠悪阻を訴える症例はANを念頭に置き精神科と連携する必要があると思われた。
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