症例
特発性高CK血症を合併した妊婦の1例
西澤 庸子
1
,
石岡 伸一
,
今 沙織
,
金 美善
,
高田 さくら
,
水内 将人
,
森下 美幸
,
遠藤 俊明
,
齋藤 豪
1函館市立函館病院
キーワード:
Creatine Kinase
,
血液学的検査
,
鑑別診断
,
帝王切開術
,
妊娠合併症-感染性
,
緊急手術
,
高クレアチンキナーゼ血症
Keyword:
Creatine Kinase
,
Cesarean Section
,
Diagnosis, Differential
,
Hematologic Tests
,
Pregnancy Complications, Infectious
pp.1709-1713
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00535.2017095141
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30歳(2経妊2経産)。23歳頃より近医の精神科で血清クレアチニンキナーゼ(CK)値の上昇を指摘されていたが、27歳時の前医での初回妊娠分娩時には特にCK値については指摘されず、妊娠38週に胎児機能不全の診断で緊急帝王切開術が施行された。しかし、28歳時の前医での2人目の妊娠経過観察中に腹緊を認め、塩酸リトドリンが投与されたが、血清CK値が5792 IU/Lまで上昇し、塩酸リトドリンと精神科からの処方薬の内服を中止してラクテックリンゲルの点滴投与を行なった。CK値は1週間後には1500 IU/Lまで低下し、その後は1500~2000 IU/Lで推移して妊娠37週で予定帝王切開となった。分娩後は1ヵ月でCK値は正常範囲まで低下した。2回目の分娩4ヵ月後、無月経で再度前医を受診して妊娠が判明、抗不安薬を含め一切の薬物の内服はなかったが、初診時700 IU/LのCK値は妊娠15週時には1134 IU/Lまで上昇し、妊娠20週には9129 IU/Lまで上昇した。そこで、1ヵ月間の自宅安静臥床を行なったところ、CK値は6200 IU/Lに低下し、更に1ヵ月後には2000 IU/L台まで低下、神経内科での精査にて特発性高CK血症と診断された。その後も分娩まで低下傾向で妊娠36週に緊急帝王切開となり、産後1ヵ月でCK値は正常化した。
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