臨床報告
異なる視機能経過をたどった可逆性白質脳症の2症例の検討
坂本 里恵
1
,
松井 良諭
,
田中 弥生
,
松原 央
,
近藤 峰生
1松阪市民病院 眼科
キーワード:
Nicardipine
,
MRI
,
視野検査
,
視覚障害
,
多剤併用療法
,
経口投与
,
網膜剥離
,
致死的転帰
,
Azelnidipine
,
Olmesartan Medoxomil
,
光干渉断層撮影
,
白質脳症
,
静脈内注入
Keyword:
Olmesartan Medoxomil
,
Administration, Oral
,
Drug Therapy, Combination
,
Infusions, Intravenous
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Nicardipine
,
Retinal Detachment
,
Vision Disorders
,
Fatal Outcome
,
Tomography, Optical Coherence
,
Leukoencephalopathies
,
Visual Field Tests
,
Azelnidipine
pp.993-998
発行日 2016年9月5日
Published Date 2016/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/J00293.2017076608
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症例1:36歳男。頭痛、嘔吐、両眼視力低下を主訴とした。右眼底所見には黄斑部の漿液性網膜剥離を認め、頭部MRIで、左頭頂葉、両側後頭葉、両側小脳半球の皮質、皮質下白質にfluid-attenuated inversion recovery(FLAIR)画像で高信号が認められた。以上の所見より可逆性白質脳症(PRES)が疑われ、腎臓内科に入院となった。腹膜透析時の排液量の低下および血圧上昇が生じていたため、ニカルジピン塩酸塩の持続点滴と限外濾過による体液量管理による降圧療法を第1病日より開始した。その後は経過良好で、頭部MRI所見は改善し、黄斑部の漿液性網膜剥離も消失し、矯正視力は右眼0.6、左眼0.8から両眼1.2までに回復した。症例2:65歳女。嘔吐、両眼視力低下を主訴とした。頭部MRIにて、FLAIR像では、両側の視床、後頭葉、頭頂葉に高信号を認め、T2画像では後頭葉に低信号領域を認めた。以上の所見により脳実質内出血を伴うPRESと診断した。高血圧のため、降圧療法を開始した。また、左腎周囲の脂肪組織濃度上昇により、尿検査にて左腎盂腎炎を認め、点滴投与を開始した。投与後は全身状態が改善し、視力回復も認められたが、発症5ヵ月後に全身状態悪化により死亡した。
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