臨床報告
非器質性視覚障害との鑑別に苦慮した緑内障の1例
萩原 正典
1
,
一色 佳彦
,
田片 将士
,
五味 文
,
三村 治
1兵庫県立尼崎総合医療センター 眼科
キーワード:
眼底
,
MRI
,
視野検査
,
心身症
,
鑑別診断
,
網膜神経節細胞
,
緑内障-開放隅角
,
光干渉断層撮影
,
眼底撮影
,
視野狭窄
,
神経線維層(網膜)
Keyword:
Fundus Oculi
,
Diagnosis, Differential
,
Glaucoma, Open-Angle
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Psychophysiologic Disorders
,
Retinal Ganglion Cells
,
Tomography, Optical Coherence
,
Visual Field Tests
pp.183-188
発行日 2017年2月5日
Published Date 2017/2/5
DOI https://doi.org/10.18888/J00293.2017145618
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61歳男。両眼解放隅角緑内障の診断で点眼加療されていたが、急速に視力・視野障害が悪化し紹介となった。初診時、視力は右眼0.04(矯正視力0.2)、左眼30cm指数弁、眼圧は各々15mmHg、17mmHgであった。垂直視神経乳頭陥凹/視神経乳頭比は右眼0.6、左眼1.0で、眼底写真で両眼乳頭耳側辺縁部は薄く、右眼は下方、左眼は広範囲に神経線維層欠損を認めた。静的視野検査では両眼とも高度視野障害を認め、光干渉断層計では乳頭周囲網膜神経線維層厚、黄斑部周囲網膜神経節細胞複合体厚の菲薄化を認めたが、黄斑部の形態異常は認めなかった。なお、網膜電図、頭部MRIでは異常所見は認めなかった。症状は徐々に進行し、1ヵ月後には右眼矯正0.04、左眼矯正40cm手動弁となったが、画像検査等の他覚的検査所見と視野等の自覚的検査所見に矛盾を認めた。また、日常行動と視機能にも解離を認め、緑内障以外に経済的利得目的の非器質的視覚障害が合併している可能性が示唆された。
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