特集 股関節温存手術-寛骨臼側股関節周囲骨切り術-
Chiari骨盤骨切り術の特徴と手術手技
高平 尚伸
1,2
,
福島 健介
3
,
大橋 慶久
3
1北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科
2北里大学大学院医療系研究科整形外科学・リハビリテーション科学・スポーツ医学
3北里大学医学部整形外科
キーワード:
Chiari骨盤骨切り術(Chiari pelvic osteotomy)
,
寛骨臼形成不全(acetabular dysplasia)
,
股関節温存手術(hip preservation surgery)
,
変形性股関節症(osteoarthritis of the hip)
,
発育性股関節形成不全(developmental dysplasia of the hip;DDH)
Keyword:
Chiari骨盤骨切り術(Chiari pelvic osteotomy)
,
寛骨臼形成不全(acetabular dysplasia)
,
股関節温存手術(hip preservation surgery)
,
変形性股関節症(osteoarthritis of the hip)
,
発育性股関節形成不全(developmental dysplasia of the hip;DDH)
pp.176-183
発行日 2025年2月19日
Published Date 2025/2/19
DOI https://doi.org/10.18885/JJS.0000002060
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Chiari骨盤骨切り術は,尾側の寛骨臼の位置を内側に移動して骨性の屋根を作り,生体力学的条件を改善させることで,股関節形成不全の課題に対処した手術である。近年では,time-savingのためのsalvage procedureと位置付けられているが,2024年には超長期的に良好な成績が示されている。良好な予後因子には,年齢が若い,男性,変形性関節症(osteoarthritis;OA)のgradeが低いことがある。さらに内側への偏位量と大腿骨頭の完全な被覆は長期成績に影響する。適応は小児の発育性股関節形成不全の遺残変形,成人の前・初期OAである。加えて,進行期・末期OAでは,適応により大腿骨外反骨切り術との併用で良好な成績が得られる。本稿では術前検査を挙げ,手術手技および術式のコツとピットフォールについて詳述する。さらに,術後後療法,代表症例を提示した。Chiari骨盤骨切り術の単独手術はMISの骨切り術であり,関節の再生が認められ長期成績が期待できる代表的な股関節温存術である。近年では適応症例が絞られて施行症例は減少傾向にあるが,若年者では適応症例が必ず存在する。股関節外科医としては,やらなければならないときがあり,次世代に継承すべき寛骨臼側の股関節周囲骨切り術である。
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