特集 右心不全を考える
診る 肺高血圧症、不整脈原性 右室心筋症の遺伝子診断を治療にどう生かせるか
朝野 仁裕
1
1大阪大学 大学院医学系研究科循環器内科学
キーワード:
デスモソーム
,
Transforming Growth Factor Beta
,
血統
,
予防医学
,
DNA変異分析
,
不整脈原性右室異形成
,
遺伝的素因(疾患)
,
浸透度(遺伝学)
,
遺伝学的検査
,
骨形成因子受容体
,
遺伝子座
,
ハイスループットヌクレオチド配列分析
,
家族性および特発性肺高血圧症
Keyword:
DNA Mutational Analysis
,
Desmosomes
,
Genetic Testing
,
Pedigree
,
Preventive Medicine
,
Transforming Growth Factor beta
,
Arrhythmogenic Right Ventricular Dysplasia
,
Genetic Predisposition to Disease
,
Penetrance
,
Bone Morphogenetic Protein Receptors
,
Genetic Loci
,
High-Throughput Nucleotide Sequencing
,
Familial Primary Pulmonary Hypertension
pp.18-22
発行日 2018年1月9日
Published Date 2018/1/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018088782
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肺高血圧症はさまざまな病態により安静時平均肺動脈圧が25mmHgと上昇をきたした疾患の総称である。遺伝性肺動脈性肺高血圧症(heritable pulmonaryarterial hypertension:HPAH)は2000年以降、複数の原因遺伝子が同定され発症機序の解明が進んでいるが、2013年に改訂された肺高血圧症臨床分類(Nice分類)においてもいまだ原因遺伝子が不明なHPAHも多く、到底全容が解明されたとはいえない。一方、不整脈原性右室心筋症(arrhythmogenic right ventricularcardiomyopathy:ARVC)は右室心筋の変性、脂肪浸潤、線維化を特徴とし、右室の拡大や収縮不全、右室起源の心室不整脈を呈する進行性の疾患である。2004年に大規模家系解析から最初の原因遺伝子が同定されて以降、多くの遺伝子座の責任遺伝子が明らかとなり、初期病変や保因者への診断感度を高くするため2010年に新診断基準として改訂されたが、いまだ複雑な診断基準と多彩な原因遺伝子は診断の難しさを示しており、分子機能に基づく病態機序解明も十分とはいえない。近年の遺伝子解析がさらに進むことにより、これら2疾患においても残された病態解明と診断治療への応用に大きな期待が寄せられている。
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