特集 一人の診察であわてないために!病状と検査結果から導き出す確定診断のコツ
救急外来(急性心不全) rule-in 急性心不全の診断を確定させるためには?エコーだけでは不十分なのか?
武井 康悦
1
1東京医科大学 循環器内科学分野
キーワード:
病院救急医療サービス
,
心エコー図
,
心不全
Keyword:
Emergency Service, Hospital
,
Echocardiography
,
Heart Failure
pp.68-71
発行日 2017年11月1日
Published Date 2017/11/1
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018029941
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急性心不全症例の診断アプローチとしては,バイタルサインなどの全身状態,会話が可能で あれば問診,身体診察,心電図,胸部単純X線,血液検査の次に心エコー図検査を行うこと になるものと思われる。X線検査や血液検査まで時間がかかる場合には,ときに心エコー先 行となるであろうが,いずれにしても心エコーは徴候から心不全が疑われた症例の診断確定 の強力なツールとしての位置づけがなされている。心エコーでわかることは,心室収縮機能 や拡張機能(左室拡張期圧推定も含め),基礎心疾患(弁膜症,虚血性壁運動異常,肥大や局 所菲薄化,心膜液など)である。他肺エコーにて肺実質内浮腫を示すコメットサイン,胸水 貯留,腹水貯留の有無,下大静脈評価により体液貯留,肺高血圧の有無を評価することがで きる。身体所見や徴候によりエコーでのチェックポイントは使い分けられ,例えばclinical scenario 1のタイプであればコメットサインをチェックし,体液貯留の徴候があれば,胸腹 水や下大静脈もチェックするであろう。問題は,心エコーを行う前に評価すべきポイントを 事前にとらえているか,であろう。もちろん急性心不全発症の表現型により心エコーを用い た評価ポイントはやや異なるので,統一的な答を出すことは難しい。表題の問いに対する答 えとしては,「心エコーだけで診断確定には十分とはいえないが,目的をもった心エコー図 検査は,心不全診断の精度を大いに高めることができる」と考える。 ここで症例を提示する。
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