特集 重症下肢虚血治療Strategy
診る 透析患者の足病重症化予防加算について
新倉 寛輝
1
,
中村 正人
1東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科
キーワード:
下肢
,
虚血
,
血液透析
,
腎不全-慢性
,
診療報酬
,
フットケア
,
末梢動脈疾患
Keyword:
Ischemia
,
Kidney Failure, Chronic
,
Renal Dialysis
,
Lower Extremity
,
Peripheral Arterial Disease
pp.1104-1107
発行日 2017年11月9日
Published Date 2017/11/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018018043
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わが国では症候性・無症候性をあわせた閉塞性動脈硬化症(peripheral arterial disease;PAD)の患者の有病率は1~3%と推測され1)、特に透析患者であることはPADの独立した危険因子であり、透析患者の20%前後がPADを合併しているともいわれている。さらに透析患者では下肢の虚血病状が進展、悪化しやすく、一度、重症下肢虚血(critical limb ischemia;CLI)に至ると下肢切断リスクが高くなり、患者のQOLが低下するのみならず、高率に心脳血管障害を合併し生命予後が不良になるという特徴を有する。下肢大切断後の1年生存率は約51%、5年生存率は約15%と著明に悪いという報告があるが2)、わが国での透析患者の下肢切断症例は経年的に増加傾向にある。このような背景から平成28年度の診療報酬改定において、透析患者における下肢閉塞性動脈硬化症および重症下肢虚血(即ち「足病」)の重症化予防を目的とした「下肢末梢動脈疾患指導管理加算」(以下「足病重症化予防加算」)が新たに認められ、徐々に普及しつつある。本稿では国の支援を受けて動き出した、この新しい仕組みとその背景、展望について述べたい。
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