特集 大動脈疾患を見直す
治す 薬物治療 解離急性期
中山 智子
1
,
西上 和宏
1済生会熊本病院 循環器内科
キーワード:
Adrenergic Beta-Antagonists
,
降圧剤
,
大動脈瘤
,
動脈瘤-解離性
,
疼痛管理
Keyword:
Aortic Aneurysm
,
Adrenergic beta-Antagonists
,
Antihypertensive Agents
,
Aneurysm, Dissecting
,
Pain Management
pp.740-743
発行日 2017年7月9日
Published Date 2017/7/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017303051
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急性大動脈解離の治療は,Stanford A型大動脈解離については基本的には緊急大動脈置換術であり,Stanford B型大動脈解離は保存的治療を選択される。急性A型解離では,内科治療例では1年間の予後は50%程度といわれており,著しく不良である。一方,A型偽腔閉塞型解離については,欧米諸国とアジア諸国では手術適応について意見が分かれている。すなわち,欧米では偽腔閉塞型であっても開存型と同様に重症であり,手術が第一選択である。しかし,わが国では症例を選択すれば内科的治療であっても臨床経過は比較的良好であるとされ,持続的な疼痛や合併症を伴わない場合には多くの施設で保存的加療が選択されている。わが国における「大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2011年度改訂版)」ではulcer-like projection(ULP)が上行大動脈に存在する場合や,大動脈径が50mm以上であること,血腫の厚さが11mm以上である場合,高度危険群であるとして手術を考慮すると推奨している。しかし最も重要なことは,いずれのタイプにおいても解剖学的な診断がつく前から降圧や鎮痛などの初期薬物管理を行うべきという点である。そしていずれのタイミングにおいても(1)血圧,(2)脈拍数,(3)疼痛をコントロールするという点においては,共通した管理目標といえるだろう。
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