特集 成人先天性心疾患 正確な患者評価から適切な治療へ
診る 成人先天性心疾患の診断に必要な解剖の知識
稲井 慶
1
1東京女子医科大学 成人先天性心疾患病態研究講座
キーワード:
局所解剖学
,
房室弁交差心
,
心臓疾患-先天性
,
大血管転位症
,
内臓錯位症候群
,
単心室
,
房室不一致
Keyword:
Univentricular Heart
,
Anatomy, Regional
,
Crisscross Heart
,
Heart Defects, Congenital
,
Transposition of Great Vessels
,
Heterotaxy Syndrome
pp.458-467
発行日 2017年5月9日
Published Date 2017/5/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017220945
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先天性心疾患の診断および血行動態の理解のためには,心臓解剖学の知識が必須である。また解剖を理解するためには発生学の知識も必要になる。ここでは,正常心のもつ解剖学的特徴について述べ,先天性心疾患を診断するうえで避けて通れない重要な解剖学用語について解説する。取り上げた用語は正しい診断のために重要であるとともに,ときに間違って用いられたり,誤解されて使用されているケースがみられるものである。筆者は,昨今,正確な解剖学的診断への情熱がおろそかになりがちな状況があると考えている。Fontan手術の適応かどうか,つまり単心室血行動態であるかどうかは重要だが,もはや多くの医師が,三尖弁閉鎖とその他の単一心室疾患の命名や分類についての興味は失っており,いずれ多くの疾患がすべて一緒くたに単心室血行動態症候群にされてしまいかねない。この項目を通して,今一度,先天性心疾患診療学における解剖学の重要性を改めて強調したい。
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