特集 循環器疾患を有する患者の妊娠・出産
診る 循環器疾患合併妊娠 妊娠中は何を診るべきか? 産科的な観点から
兵藤 博信
1
1東京都立墨東病院 産婦人科
キーワード:
妊娠管理
,
出生前超音波診断
,
心臓疾患-先天性
,
心臓血管作用剤
,
産後管理
,
胎児疾患
,
妊娠合併症-心臓血管系
,
早産-切迫
,
妊婦健康診査
Keyword:
Cardiovascular Agents
,
Fetal Diseases
,
Heart Defects, Congenital
,
Pregnancy Complications, Cardiovascular
,
Postnatal Care
,
Prenatal Care
,
Ultrasonography, Prenatal
pp.339-344
発行日 2017年4月9日
Published Date 2017/4/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017201284
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女性は,普段は医療機関を受診する機会があまりなかったとしても,妊娠中は妊婦健診を受けるという目的で,定期的に受診する。そして,妊娠中は,循環器系に一生のなかでも最もダイナミックな変化がみられている。従って,循環器疾患を合併した女性が妊娠した際には,普段以上のフォローアップが必要となるが,受診を促す,あるいはその機会をつくることは難しくない。妊娠中は,当然ながら産婦人科医が最も身近に患者に接する存在である。また妊婦健診では,胎児の様子だけでなく,血圧,浮腫,体重など,循環器に関連した指標が定期的に記録される。しかしながら,産婦人科医は循環器疾患の増悪について明るくはない。動悸,息切れ,疲労感,頭痛などは,妊娠中には「不定愁訴」ともよべるものであり,循環器疾患を抱える女性のこれらの症状が重要であるのか判断しにくい。どのような症状に気を付けるか,どうフォローするか,普段から循環器医と産婦人科医が単なる「他科依頼」に留まらず相談し合える環境を整えることが,患者にとって最も安心な状況である。そのほかにも,妊娠高血圧症候群や血栓症など,循環器に対する妊娠期に特有の影響もあり,また,心疾患合併妊娠では,胎児が心疾患をもつ危険性が増加するため,胎児心臓超音波スクリーニングも重要である。
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