特集 植込みデバイスによる不整脈・心不全の診断・治療はどう変貌したか-現状と将来の展望-
治す 経皮的左心耳閉鎖デバイスWATCHMAN
金子 英弘
1
1ブランデンブルク心臓病センター
キーワード:
術後合併症
,
脳梗塞
,
インターベンショナル超音波診断
,
ランダム化比較試験
,
心耳
,
心房細動-非弁膜症性
Keyword:
Postoperative Complications
,
Randomized Controlled Trials as Topic
,
Ultrasonography, Interventional
,
Atrial Appendage
,
Brain Infarction
pp.205-213
発行日 2017年2月9日
Published Date 2017/2/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2017130948
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心房細動診療において,脳梗塞(血栓塞栓症)の予防は最も重要なポイントの1つ である。最近の報告でも脳梗塞を発症した心房細動患者の1カ月死亡率は25%, 1年死亡率は40%と依然として高く1),生存した場合にも多くの症例で重篤な後 遺症が残る。 脳梗塞のリスクの高い患者には,従来であればワルファリン,近年では4種類の 直接作用型経口抗凝固薬(direct oral anticoaglant;DOAC)による抗凝固療法 が推奨されるが,服薬アドヒアランスや抗凝固療法に伴う出血性合併症などの懸 念,さらには至適な抗凝固療法を行ってもすべての脳梗塞が予防されるわけでは なく,抗凝固療法以外の治療法も模索されてきた。 このような状況のなかで非弁膜症性心房細動症例における左房内血栓の9割以上 が左心耳に発生することから,左心耳を物理的に閉鎖することで非弁膜症性心房 細動症例における脳梗塞発症を予防するというコンセプトで開始されたのが経皮 的左心耳閉鎖術である。 10種類以上のデバイスが開発中の経皮的左心耳閉鎖術であるが,そのなかで WATCHMANTM(Boston Scientific社)は臨床エビデンスの豊富さからも,実 臨床において蓄積された症例数からも本領域のリーディングデバイスである。 本稿では, 現在, 大いに注目を集める経皮的左心耳閉鎖術について, WATCHMANTMを中心に概説する。
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