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なぜナビゲーション支援手術なのか?
弯曲状寛骨臼骨切り術(curved periacetabular osteotomy;CPO)を行う以前の筆者は,田川式寛 骨臼回転骨切り術(rotational acetabular osteotomy; RAO)の執刀経験が3例しかなかった。豊富なRAO とCPOの執刀経験をもつ,共著者の堂前先生の指 導で2007年に初めて骨盤の内側からノミを挿入し たときの怖さは今も忘れられない。股関節検診が 普及し,症状を有する成人寛骨臼形成不全患者数 が激減するため,CPOの適応は今後漸減すると思 われる。少ない経験数でCPOに習熟し,良好な臨 床成績を残すことが筆者らの使命と理解した。 CPOの難しさは関節の位置を直接みることな く,骨盤内側から寛骨臼をくり抜く作業にある。 熟練しないと,迷わず弯曲ノミを腸骨内面や quadrilateral surface(QLS)に挿入できない。筆者 らは人工股関節全置換術の全例にCT basedナビ ゲーションを使用しており,ナビゲーション操作 には習熟していた。CT basedナビゲーションは術 前CT画像から股関節の立体骨モデルを構築し, 3D画面で術前計画を立てる。術中は赤外線カメラ で骨表面と手術器具に立てたトラッカーの位置を 計測し,リアルタイムに手術器具が骨のどの位置 にあるかを表示することで3D術前計画を具現化す る。2010年にOrthoMAP®3D(Stryker社)を使って, CT basedナビゲーション支援CPOを世界で初めて 開始した。しかし,このシステムは各種骨切り術 や腫瘍切除術用の汎用システムで,術前計画には 煩雑な操作が必要であった。最近は骨盤骨切り術 に特化したZedOsteotomy(LEXI社)を用いて術前 計画を立て,stereolithography(STL)データに変 換してOrthoMAP®3Dに移植し,ナビゲーション 支援下にて術前計画を具現化している1)。
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