特集 医工連携による新たな整形外科治療
銀HAコーティング人工関節の開発
上野 雅也
1
,
馬渡 正明
1佐賀大学 医学部整形外科学
キーワード:
コロニー形成ユニット検定
,
Escherichia coli
,
Durapatite
,
Staphylococcus aureus
,
関節疾患
,
銀
,
股関節
,
術後合併症
,
臨床試験
,
材料試験
,
リスク評価
,
人工股関節
,
股関節置換術
,
生体適合性コーティング材
,
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
,
強度
Keyword:
Colony-Forming Units Assay
,
Clinical Trials as Topic
,
Escherichia coli
,
Joint Diseases
,
Hip Joint
,
Hip Prosthesis
,
Materials Testing
,
Postoperative Complications
,
Staphylococcus aureus
,
Risk Assessment
,
Durapatite
,
Coated Materials, Biocompatible
,
Arthroplasty, Replacement, Hip
,
Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus
,
Silver
pp.458-462
発行日 2017年5月19日
Published Date 2017/5/19
DOI https://doi.org/10.18885/J00282.2017248437
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はじめに
整形外科分野において,人工関節や内固定材料 などのインプラントを用いた再建治療は日常行わ れる標準的な手法であり,今後さらに高齢化が進 行していくわが国においては,インプラントを用 いた手術件数はより増加していくと予測される。 インプラントを使用するに当たり合併症の発生 は深刻な問題であり,特に人工股関節全置換術 (total hip arthroplasty;THA)の主な合併症とし ては脱臼,弛み,破損および術後感染が挙げられ る。近年では人工関節の材質やデザインおよび手 術手技の改良による脱臼や,弛み・破損の抑制, 手術環境の整備による感染対策などが進んでい る。しかしいったん感染が発症すると,その治療 には多大な困難が伴う。加えて,昨今糖尿病や肝 疾患,透析患者などの感染リスクの高い症例に対 する人工関節置換術も増えており,感染症対策の 必要性が増している。そのため近年,感染予防目 的にインプラント自体に抗菌性をもたせる研究が 多数報告されている1)〜5)。 佐賀大学では2005年より,京セラメディカル株 式会社と抗菌性インプラント開発の共同研究を 行ってきた。2014年,臨床治験を行い,2015年9 月に銀含有ハイドロキシアパタイト(Ag-HA) コーティング人工股関節「AG-PROTEXⓇ」とし て製造販売承認を取得した。 本稿では,これまでの抗菌性インプラント開発 の研究結果について総括し,製造販売承認に先 立って当院にて行われた20例の臨床治験のデー タ,ならびに今後の課題について述べる。
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