特集 足の腱トラブル
腱実質部障害(腱変性)の病因と病態
安田 稔人
1
1大阪医科大学 整形外科
キーワード:
危険因子
,
疾患モデル(動物)
,
足部損傷
,
アキレス腱断裂
Keyword:
Disease Models, Animal
,
Risk Factors
,
Foot Injuries
pp.6-11
発行日 2017年1月19日
Published Date 2017/1/19
DOI https://doi.org/10.18885/J00282.2017100458
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はじめに
足部の腱障害はアキレス腱障害をはじめ,後脛骨筋腱,腓骨筋腱,長母趾屈筋腱などの腱障害が代表的である。アキレス腱は足部のほかの腱と異なり,腱鞘がなく,腱周囲にはパラテノンが存在する。アキレス腱実質内には血管は少ないが,パラテノンには多数の血管が存在する。アキレス腱の障害には腱周囲の炎症(腱周囲炎)と腱実質部の変性(腱症),またその両者が合併する場合がある1),2)。以前は,腱炎という用語が用いられていたが,近年では腱症という用語がよく用いられる。腱実質部の障害は組織学的には炎症所見が少なく,腱の変性が主体である1),3)。腱の変性が高度になると腱の力学強度も低下し,その結果,腱断裂に至る。腱断裂の予防のためにも,腱の変性を主体とした腱実質部障害の病態を把握しておくことが重要である。本稿では,腱変性の病因と病態について,アキレス腱を中心に概説する。
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