症例
外傷性長趾伸筋腱断裂による外がえし障害をきたした1例
村橋 靖崇
1
,
寺本 篤史
,
山下 敏彦
,
渡邉 耕太
,
小林 拓馬
,
千葉 弘規
1札幌医科大学 医学部整形外科
キーワード:
腱損傷
,
足指
,
内反足
,
足部損傷
,
腱固定
,
自己報告式質問調査
,
伸筋
,
薄筋
Keyword:
Gracilis Muscle
,
Clubfoot
,
Tendon Injuries
,
Toes
,
Foot Injuries
,
Tenodesis
,
Self Report
pp.1265-1269
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00767.2016396007
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28歳男性。作業中、トラックに左足を轢かれ受傷、近医にて左足関節前面皮膚欠損、外傷性長趾伸筋腱(EDLT)断裂の診断にて人工真皮移植と拘縮予防のための第3-5趾MTP関節ピンニングが行われ、半年間を要し、独歩可能となった。しかし、接地初期に足底外側で接地する歩行異常を来し、外がえしが困難なため内反捻挫を繰り返し、リハビリテーションや装具療法が行われるも外がえし障害は改善されなかった。そこで今回、受傷1年後に手術目的で著者らの施設へ紹介となった。受診時、創部は上皮化し左足関節前面から足背外側にかけ広範囲の皮膚瘢痕がみられ、皮膚の可動域は極めて不良であった。また、足関節レベル以遠のEDLTは触知できず、徒手筋力テストでは第2-5趾が著明な低下を認め、足関節背屈位の外がえし運動は右5、左2レベルであった。一方、足部・足関節の関節拘縮はなく、神経学的異常所見もみられなかった。更にMRIでは足関節レベルでEDLTの辺縁が不整で連続性が不明瞭であったが、長短腓骨筋腱の連続性は確認することができた。以上、これらの所見を踏まえて、本症例は外傷性EDLT断裂に伴う外がえし障害の診断で移植腱を用いた踵骨遠位外側への腱固定術が行われた。その結果、術後に4週間のギプス固定ほか、6週間免荷で段階的に可動域訓練、荷重訓練を行なうことで、術後6ヵ月後、外がえし可動域が0°に改善、片足立位可能となった。
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