特集 超高齢者循環器診療の術-先生のお悩みはなんですか?-
治す9
超高齢心不全患者に対するGDMTは何歳まで行うべきか? 生命予後とADLのどちらを重視すべきか,在宅ではどうすべきか?
吉川 勉
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1公益財団法人・日本心臓血圧研究振興会・榊原記念クリニック
キーワード:
生命予後
,
生活の質
,
多職種連携
,
病診連携
,
アドバンス・ケア・プラニング
Keyword:
生命予後
,
生活の質
,
多職種連携
,
病診連携
,
アドバンス・ケア・プラニング
pp.1158-1164
発行日 2020年12月9日
Published Date 2020/12/9
DOI https://doi.org/10.18885/HV.0000000399
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日本老年医学会の定義によると,超高齢者は90歳以上を指す。従来の診療ガイドラインに記載されている内容は,比較的若年者の心不全患者を対象とした臨床試験の成果に基づくものである。日本では特に高齢心不全患者の増加が顕著であり,2025年には300万に達すると試算されている。超高齢心不全患者の実態についても最近いくつかの報告があり,女性・収縮機能の保たれた心不全・感染症などの合併症が多いことや在院日数が長く,なおかつ院内死亡も多いことが明らかにされている1)。このような現状を鑑み,高齢者心不全の管理について改めて見直す必要性が高まり,日本心不全学会から「高齢心不全患者の治療に関するステートメント」2)が発行されたのは記憶に新しい。高齢心不全患者は,腎機能障害・閉塞性肺疾患・肝機能障害・脳血管疾患・悪性腫瘍・感染症などさまざまな全身疾患を有する。従来の心不全ガイドラインをそのまま適用することはできない。この薬物治療についての注意点は各項に譲るが,合併疾患と個々の患者の生命予後を勘案しながら,治療を選択することが肝要である。なお,高齢者心不全の原因として大動脈弁狭窄症がクローズアップされている。手術・カテーテル治療など積極的な治療を選択するか,判断に悩むケースも多い。高齢者心不全に多くみられる収縮機能の保たれた心不全(heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)については,他稿を参照されたい。
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