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60 歳代,男性。 主訴 発熱と吸気時に増悪する胸痛。 現病歴 高血圧で降圧薬を服用していた患者。昨日起床時より39℃の発熱と吸気時に増悪する胸痛が出現し,外来を受診する。 現症 BP 116/66mmHg, HR 90/ 分 整, BT 39.0℃ , 心音:第三肋間胸骨左縁にLevine Ⅱ /Ⅳの収縮期および拡張期雑音あり。呼吸音は下肺野にてcrackles を聴取する。下肢浮腫なし。 心電図 Ⅰ,Ⅱ,aVL,aVF,V2-V6 で広範囲ST 上昇あり。胸部CT:左下肺野に肺炎陰影あり。 心エコー 全周性に10mm 前後の心嚢液あり。左室拡張末期径48mm で心拡大なく左室壁運動低下なく左室駆出率63%あり左室収縮能は正常であった。大動脈弁は二尖弁で弁尖の石灰化あり可動性低下し弁口面積1.8cm2。軽度から中等度の大動脈弁逆流を認めた。 血液検査 RBC 440 万,Hb 14.1g/dL,Ht 41.5 %,WBC 12,200(Seg 87 %),Plate 11 万。BUN 20mg/dL, クレアチニン0.7mg/dL,T-Bil 0.5mg/dL,AST 51U/L,ALT 32U/L,LD369U/L,ALP 174U/L,CK 547U/L,CK-MB 1.0ng/mL,BNP 192.5pg/mL,CRP 28.5mg/dL。ウイルス抗体陰性,結核菌特異的IFN- γ陰性。血液培養よりStreptococcus Group G を認めた。化膿性心膜炎としてCTRX とNSAIDs,コルヒチンで治療するが,CRP の陰性化が認められず,心エコーを再検査したところ,大動脈弁逆流は中等度〜重度に増大し,大動脈弁無冠尖(noncoronary cusp:NCC)の穿孔を疑う逆流を認め,また,大動脈弁輪周囲の低エコー輝度領域とその部位より左室流出路と交通のある血流を認め,感染性心内膜炎による大動脈弁周囲膿瘍・仮性(偽性)動脈瘤から左室への瘻孔を疑った。造影CT でも仮性大動脈瘤の所見を認め,早期手術の適応と考え手術を施行した。大動脈弁NCC 穿孔と弁周囲膿瘍・仮性動脈瘤があり,大動脈弁置換術・弁輪形成術を行った。
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