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▶ 肺疾患のMRI診断は,1991年に北米放射線学会の「Radiologic Diagnostic Oncology Group(RDOG)report」として『Radiology』に胸部MRIの肺癌診療における有用性が限定されたものであることを示唆し,それ以降胸部疾患への臨床応用は長らく限定された施設や臨床目的に対してのみ行われてきた。
▶ しかし,2000年代以降のMR装置の進歩や新たな撮像法の開発,さまざまな造影剤の使用,および国内外における多数の胸部領域におけるMRIの臨床応用研究などによるさまざまなエビデンスに基づき,2020年にThe Fleischner Societyにより呼吸器領域のMRIは再定義され,国内外の主要雑誌により「Reposition paper」が発表され,その臨床的価値は国内外でゆるぎないものになりつつある。
▶ 2020年に新たに発表されたThe Fleischner Societyの「Position paper」は主要な胸部疾患をevidence–baseにて,①臨床応用可能である“Data Support Current Clinical Application(Suggested for Current Clinical Use)” ②臨床応用の可能性がある“Data Promising:Further Validation or Regulatory Approval Required” ③臨床応用は時期尚早“Investigational” に分類し,記載している。
▶ 特に,「臨床応用可能である“Data Support Current Clinical Application(Suggested for Current Clinical Use)”」に区分される疾患のうち,欧米にしか存在しないcystic fibrosis以外は日常臨床でよく遭遇する疾患であり,以前からMRIの臨床的有用性を指摘してきた疾患である。
▶ 本稿では,誌面の都合上そのなかでも肺癌の病期診断および肺結節・腫瘤の良・悪性鑑別診断と肺結節検出および肺実質病変評価に関して限って述べる。その推奨撮像法をTable 2,3に示す。そのほかに関しては成書や「Reposition papers」に引用されている各論文を参照していただきたい。
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