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▶ 縦隔の解剖学や病理学の教科書に記載され,一般的にもよく知られている古典的区分では,縦隔を以下の4つの区域に区分している。すなわち, ①上縦隔(胸骨柄と胸骨体の関節と第4,5胸椎椎間板とを結んだ線より頭側) ②前縦隔(上縦隔の尾側,心前縁より腹側) ③中縦隔(上縦隔の尾側,心陰影と重なる部分) ④後縦隔(上縦隔の尾側,心後縁の背側すべて) である。
▶ 一方で,放射線科ではFelson区分が40年以上前から用いられてきた。しかし,縦隔腫瘍の診療を標準化するための『臨床・病理 縦隔腫瘍取扱い規約(第1版)』が出版され,CTを用いた新たな区分が日本胸腺研究会(Japanese Association for Research of Thymus;JART)より,提唱された。
▶ さらに,胸腺上皮性腫瘍の扱いを標準化する目的で,International Thymic Malignancy Interest Group (ITMIG)が組織され,外科,内科,病理,放射線科を含めた学際的な検討が実施され,さまざまな提案がなされている。
▶ 2014年,縦隔区分においても,日本からのJART区分を参考として,より簡略化した区分が提案されている。JART区分はITMIG区分と異なり,縦隔を古典的区分と同様に4区分としており,ITMIG区分ではFelson区分と同様に3区分が採用されているが,縦隔腫瘍の鑑別診断にはその存在する縦隔区分が一助になることが知られている。
▶ こうした状況下で,縦隔腫瘍においては一般に古典的なT1強調像,T2強調像および造影T1強調像にて嚢胞性疾患や神経原性腫瘍などの一部の充実性腫瘍や嚢胞性疾患の質的診断を行うことが可能である。
▶ また,縦隔腫瘍の8割以上を示す前縦隔病変において,胸腺上皮性腫瘍と胸腺遺残,あるいは胸腺過形成の鑑別や悪性度の高い胸腺上皮性腫瘍や悪性リンパ腫などの組織診断や治療を要する悪性度の高いの鑑別などにおいて,最新MRI診断が有用であるとされている。
▶ Table 1,2に推奨撮像法を記載する。
▶ 撮像断面は横断像が原則であるが,進展範囲診断などの目的別で,撮像断面を冠状断や矢状断を追加することが必要である。
▶ 撮像法に関しては進展範囲診断ではshort inversion time(TI)inversion recovery(STIR)法を中心にT1強調像やT2強調像および造影T1強調像を追加する。
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