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は じ め に
人工膝関節全置換術(TKA)は,変形性膝関節症に対する標準的な手術療法であり,疼痛の軽減および機能回復に有効であることが広く報告されている.TKAの術後成績は,インプラント設置の精度,下肢アライメントの再現性,さらには軟部組織バランスの適切な調整に大きく依存する1).従来のTKA(manual TKA:mTKA)は術者の経験や技量に基づいて施行されるため,骨切りやインプラント設置に一定の誤差や術者間差が避けられない2,3).一方,近年の医用工学の進歩により,ロボット支援TKA(robot-assisted TKA:raTKA)が臨床に導入され,その手術件数は増加傾向にある4,5).raTKAは,精度の高い骨切りとインプラント設置を可能とし1,6~9),アライメントの再現性に優れている1,8~13)とされている.
基礎研究において,raTKAはmTKAと比較して,大腿骨冠状面・矢状面,脛骨冠状面いずれにおいても骨切り誤差が有意に小さく,特に機械的アライメントの正確性に優れていることが示されている6).近年の臨床研究のシステマティックレビューおよびメタ解析においても,raTKAはmTKAと比較して解剖学的アライメントおよび機械的アライメントの精度において優れていたと報告されている10).一方,術後臨床成績に関しては必ずしも一致した見解は得られていない.Hoeffelらのメタ解析では,raTKAはmTKAと比較して入院期間の短縮,自宅退院率の増加,再入院率の低下が認められたが,手術時間および手術室滞在時間は延長する傾向にあったとしている14).患者立脚型アウトカム,関節可動域(ROM),合併症発生率においては両群間で有意差がないとする報告が多い8,10,12).
raTKAはmTKAと比較して骨切り精度およびアライメント再現性に優れるものの,臨床成績の優位性に関しては議論の余地が残されている.特に本邦における一般的な入院期間である術後2週時点における臨床成績に関する報告は乏しい.そこで本研究では,raTKAが入院中の短期臨床成績に及ぼす影響について検討することを目的とした.
本研究は,Strengthening the Reporting of Observational Studies in Epidemiology(STROBE)ガイドライン15)に準拠して実施された後ろ向き観察研究である.本研究で使用したデータは当施設の医療記録より収集し,当院倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:24-R165).

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