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【要 旨】
目 的:両側同時人工膝関節全置換術(TKA)患者において,それぞれの膝に解剖学的アライメント(AA)とメカニカルアライメント(MA)でTKAを行い,中期の臨床成績の比較を行うことを目的とした.
対象および方法:2016年6月~2018年5月に後方安定型人工膝関節を用いた両側同時TKAを行い,片方の膝はAAで,対側の膝はMAで無作為にTKAを行った.対象は40例80膝(平均年齢75歳,男性4例,女性36例)で,最低2年間経過観察した(平均経過観察期間4.9年).AA群では大腿骨遠位端は機能軸より2°外反,脛骨は特注のガイドを用い,2°または3°内反を目標に骨切りした.インプラント設置角度と下肢アライメントを術後X線像とCTを用いて計測した.術前後の可動域,Knee Society Score(KSS),患者満足度,術後の2011年Knee Society Questionnaire(KSQ),Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score(KOOS)を評価した.
結 果:Joint line orientation(JLO)はAA群がMA群より(0.6°vs. 2.9°,p<0.001)有意に小さく,地面と平行に近かった.術後HKA角には差はなかった.MA群では術後5年目に1例でインプラントの弛みにより再置換術を必要とした.術前,AA群は膝伸展角度(-7.2°vs. -6.0°,p=0.035)とKSS(46.1 vs. 49.1,p=0.046)が有意に低かった.2011年KSQ満足度スコア(26.7 vs. 25.7,p=0.035)を除き,両群間に有意差があり術前・術後を比べるとより多くの患者がAA側を好んだ.
結 論:AAとMA-TKAは,平均4.9年の経過観察で両側同時TKAを受けた患者において,同等の臨床成績であった.

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