大腿骨近位部骨折管理における医科歯科連携による口腔ケアの付加価値

Added value of medical-dental collaboration in the management of hip fracture surgery

は じ め に

　大腿骨近位部骨折の術後合併症の一つに肺炎がある^1）．術後肺炎を併発した大腿骨近位部骨折患者の30日死亡率は，肺炎非合併患者の1.7％に比べて14％と，高いとの報告^2）がある．肺炎関連死亡を抑制するには，術前から肺炎予防対策を行う必要がある．当院では2017年から大腿骨近位部骨折患者に対して，早期手術と多職種による包括的集学的治療管理プログラムを実施している^3）．その中で術後肺炎予防対策として，歯科医・歯科衛生士による周術期における口腔ケアを行っている．本研究では，大腿骨近位部骨折に対して医科歯科連携による口腔ケアが創造する医業収益上の付加価値について検討したので報告する．