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脊椎固定術におけるバンコマイシン含有フィブリン糊の術野散布による術後感染予防効果
The effect of local administration of vancomycin suspended in fibrin glue for prevention of surgical site infection after spinal instrumentation:comparison by probability of treatment weighting model
東 貴行
1
,
小林 直実
1
,
井出 学
1
,
内野 洋介
1
,
井上 徹彦
1
,
稲葉 裕
2
T. Higashi
1
,
N. Kobayashi
1
,
M. Ide
1
,
Y. Uchino
1
,
T. Inoue
1
,
Y. Inaba
2
1横浜市立大学附属市民総合医療センター整形外科
2横浜市立大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Yokohama City University Medical Center, Yokohama
キーワード:
vancomycin
,
surgical site infection
,
fibrin glue
Keyword:
vancomycin
,
surgical site infection
,
fibrin glue
pp.85-88
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_85
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【要 旨】
目 的:脊椎固定術において,バンコマイシン(VCM)含有フィブリン糊を使用した患者と使用しなかった患者で術後感染率を比較し,術後感染予防効果を調査することである.
対象および方法:脊椎変性疾患,脊椎外傷,脊椎腫瘍に対して脊椎後方固定術を施行した患者264例を対象とした.VCM含有フィブリン糊を術野散布した群としなかった群に分けて比較した.傾向スコアを基にした逆確率重み付け法(IPTW)を用いた二項ロジスティック回帰モデルを用いて比較し,術後感染に影響する因子を同定するために多変量ロジスティック回帰分析を行った.
結 果:VCM含有フィブリン糊の術野散布を受けた群は134例,受けなかった群は130例であった.術後感染の割合はVCM含有フィブリン糊を受けた群のほうが低かった(2.2% vs. 8.5%).多変量ロジスティック回帰分析では,VCM含有フィブリン糊の術野散布は術後感染を低下させる有意な因子であった.
結 論:脊椎固定術においてVCM含有フィブリン糊の術野散布は,術後感染を有意に抑えることができていた.
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