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【要 旨】
目 的:圧潰をきたした大腿骨頭壊死(ONFH)が自然経過において圧潰停止し,長期的に手術療法を回避できることは少なくない.われわれはONFHにおける骨頭の壊死範囲と圧潰停止の関連について調査した.
対象および方法:2010~2019年に当科に初回受診した片側症状かつ圧潰が3mm未満のONFH 74例を対象とした.性別は男性52例,女性22例で平均年齢は46.1歳,平均観察期間は58.7ヵ月,厚生労働省特発性大腿骨頭壊死症調査研究班診断基準(JIC type分類)[B/C1/C2]は3例/34例/37例であった.圧潰停止を得られた症例をstable群,圧潰進行した症例をprogression群とし,MRI T1強調画像におけるmediolateral(ML)およびanteroposterior(AP)necrotic lesionsを評価した.Receiver operating characteristic curve(ROC)曲線を用いて圧潰停止が得られる壊死領域のカットオフ値を割り出し,3mm以上の圧潰進行をエンドポイントとした生存率を評価した.
結 果:圧潰停止は29例(39%)に認めた.MLおよびAP necrotic lesionsはstable群(71.7±27.8%および58.9±15.6%)に対してprogression群(83.4±8.1%および78.2±14.2%)でいずれも有意差があった(p<0.01).ROC曲線の結果はML necrotic lesionsのarea under the curve(AUC)は0.673でカットオフ値は76.5(感度76,特異度58)%に対してAP necrotic lesionsではAUCは0.811でカットオフ値は62.1(感度87,特異度71)%で有意差があった(p<0.01).3mm以上の圧潰進行をエンドポイントとした5年生存率はAP necrotic lesions<62.1%では77.8%に対して,AP necrotic lesions≧62.1%では5.4%で有意差があった(p<0.01).
結 論:一度圧潰をきたしたONFHにおいても,AP necrotic lesionsが62.1%未満の症例では自然経過による圧潰停止が期待できる.
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