Japanese
English
論説
一次医療における急性非特異的腰痛の疼痛強度変化と慢性化因子
The change in pain intensity and risk factors for the chronification of acute non-specific low back pain in primary medicine
高橋 弦
1
,
田中 浩平
1
Y. Takahashi
1
,
K. Tanaka
1
1山王整形クリニック
1Sannoh Orthopedic Clinic, Chiba
キーワード:
primary care
,
acute nonspecific low back pain
,
chronification
,
risk factors
,
JOABPEQ
Keyword:
primary care
,
acute nonspecific low back pain
,
chronification
,
risk factors
,
JOABPEQ
pp.693-701
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_693
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は じ め に
腰痛は特異的腰痛と非特異的腰痛に分けられる.特異的腰痛とは痛みの原因となる器質的病態が明らかな場合である.腰痛全体の80%超は非特異的腰痛といわれる1).非特異的腰痛は一次医療におけるもっとも頻度の高い疾患の一つである1).非特異的腰痛は急性と慢性に分けられる.だが急性非特異的腰痛と慢性非特異的腰痛は診療上,医学研究上の位置づけは大きく異なる.急性腰痛の90%は発症後1ヵ月以内に自己完結する1~6).急性腰痛の多くは痛みの原因が不明のまま診療が終わるので,結果として非特異的腰痛に分類される.慢性非特異的腰痛は器質的原因のための検査を駆使しても病変部位や機能異常がわからない場合である.慢性非特異的腰痛は慢性痛医学の中心的課題であり,いかなる慢性非特異的腰痛患者もはじめて腰痛を体験したときがある.急性腰痛の初期治療段階で亜急性化の傾向を発見し慢性腰痛への移行を阻止することは,一次医療の重要な役割である1,7~10).
本稿の目的は,急性非特異的腰痛の慢性化の要因を明らかにすることである.本研究のデザインは,前向き症例集積研究である.本研究は厚生労働省による「臨床研究に関する倫理指針(平成15年7月30日,平成20年7月31日全部改正)11)」に準拠して作成した臨床研究実施要項を院内に掲示・説明した上で実施した.
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