心臓足首血管指数測定結果で救命しえた急性期大動脈解離の1例

Successful acute diagnosis of acute aortic dissection by cardio-ankle vascular index：report of a case

　急性期大動脈解離は致死的な合併症を起こしやすく予後不良な疾患である．特に発症48時間以内は致死的な危険が高く，その典型的な症状は高血圧に伴う胸背部激痛であり，急性期大動脈解離の74～90％に認められるとされる．上行大動脈に解離のあるStanford分類type A例の50％に上肢血圧の左右差があり，胸部X線像で上縦隔拡大しているものの，心電図に有意な変化は現れないともされる^1）．胸背部痛は整形外科診療でも遭遇はまれではないが急性期大動脈解離の診断はむずかしい．

　本稿では，心臓足首血管指数（cardio-ankle vascular index：CAVI）による上肢血圧の左右差をもとに同疾患の早期診断および救命を行えた1例を文献的考察とともに報告する．