書評
『変形性股関節症診療ガイドライン2024(改訂第3版)』
加来 信広
1
1大分大学整形外科教授
pp.165-165
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_165
- 販売していません
- 文献概要
科学的根拠に基づく医療(evidence-based medicine)を普及させるため,整形外科においても日常診療で遭遇する頻度の高い疾患および重要性が高いと思われる11疾患が2002年に選定された.その中で,2008年にはじめての統一的な『変形性股関節症診療ガイドライン』が発行され,変形性股関節症の診断・治療における標準的な手順が定められた.このガイドラインの発行により,全国的な治療の均一化・標準化が図られ,安全で効果的な治療を提供し,患者への質の高い医療の提供が期待されるようになった.2016年に出版された第2版では,治療の効果(益)のみだけでなく,合併症の発生(害)も考慮し,エビデンスを定性的または定量的にメタ解析し,エビデンスレベルおよび推奨が決定された.また,大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)が独立した章を設けて取り上げられた.ガイドラインの歴史は,医療従事者にとって重要な指針を提供するだけでなく,患者にとっても安心して治療を受けるための基盤を整えてきた.
© Nankodo Co., Ltd., 2025