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【要 旨】
目 的:超高齢社会がすすむにつれて整形外科疾患と認知症の有病率は非常に高くなっている.本研究の目的は地域住民を対象としたコホート研究において,変形性膝関節症(KOA)を有する患者が追跡期間内に認知症を発症するリスクが高まるか否かについて明らかにすることである.
対象および方法:2009年のLocomotive Syndrome and Health Outcomes in the Aizu Cohort Study(LOHAS)参加者のうち,運動器検診において両膝関節の単純X線像を撮影されたものを対象とした.熟練した整形外科医2名がそれぞれKellgren-Lawrence(K-L)分類を用いて分類し,左右の中でより重度のgradeをその対象者のK-L分類gradeとした.K-L分類grade 2以上をKOA(+)群,それ未満をKOA(-)群として2群に分類した.その後,6年間のうちに市町村に提出された要介護認定主治医意見書における新規の「認知症判定Ⅱ」以上を認知症発症と定義した.追跡期間内の転居や死亡は脱落とした.意見書が提出された日を認知症発症のタイミングとして,交絡因子を調整変数としたCox比例ハザードモデルを用いて認知症発症のハザード比を検出した.
結 果:最終解析には1,089例の参加者が抽出され,KOA(+)群784例,KOA(-)群305例であった.6年以内の認知症の発症はそれぞれ,66例(8.4%),9例(3.0%)であった.Cox比例ハザードモデルを用いた解析の結果,KOA(+)群のKOA(-)群に対するハザード比は2.29(信頼区間1.12~4.68)であった.
結 論:KOAは認知症発症の独立した危険因子である.

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