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【要 旨】
目 的:健康にかかわる生活の質(health related quality of life:HRQOL)の低下に関係する潜在的因子として,頚部痛・肩こり(neck and shoulder pain:NSP)と神経障害性疼痛(neuropathic pain:NeP)の関連性について調べた報告は少ない.本研究の目的は,一般住民検診においてNSPを訴える中高齢者のHRQOLに対するNePの影響を明らかにすることである.
対象および方法:北海道八雲町の一般住民検診受診者203例(男性84例,女性119例,平均年齢63.3歳)を対象とした.NSPを過去1ヵ月以内の項頚部から僧帽筋を中心とした肩上部の痛み・凝り,NePをShort-Form Spine painDETECT質問票(SF-SPDQ)のカットオフスコア≧0と定義した.NePあり,NePなしの2群に分け比較・検討した.
結 果:NSPあり100例,NSPなし103例であり,NSPありのうちNePありが46例,なしが54例であった.NePあり群とNePなし群の2群間で年齢,性別の割合,body mass index(BMI),運動機能,血液検査の結果に差はなかったが,NSPのvisual analogue scale(VAS)はNePあり群で高かった.多変量解析の結果,NePありはSF-36のphysical component summary(PCS)低下[オッズ比(OR):3.563,95%信頼区間(CI):1.494~8.498,p<0.01]およびmental component summary(MCS)低下(OR:4.044,95%CI:1.189~13.760,p<0.05),EuroQol-5 dimention-5 level(EQ-5D-5L)index低下(OR:3.611,95%CI:1.519~8.585,p<0.01)の危険因子であった.
結 論:NSPを有する一般住民検診の46.0%がNePを訴えており,NePを有する者はHRQOLが低下していた.NePを軽減することはNSPを有する中高齢者のHRQOL改善に大きく寄与する可能性がある.
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