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【要 旨】
目 的:全内視鏡下腰椎椎間板切除術(full-endoscopic lumbar discectomy:FED)は腰椎椎間板ヘルニア(以下,ヘルニア)に対するもっとも低侵襲な手術的治療の一つである.しかしながらヘルニアの再発を従来法と同等に認める.本研究では経椎弓間(interlaminar:IL)アプローチ(IL法)でFEDを施行した症例における,ヘルニア再発による再手術の危険因子の検討と,初回手術から再手術までの期間の違いによる手術方法の選択,治療成績の比較・検討を行った.
対象および方法:ヘルニアに対してIL法を用いたFED(FED-IL)を施行した909例を対象とした.術後にヘルニアを再発して再手術を行った症例をrecurrent群,それ以外の症例をnon-recurrent群とし,両群間の患者背景を比較した.またrecurrent群を初回手術から再手術までの期間により4群[very early(VE)群:14日以内,early(E)群:15日から3ヵ月未満,mid-term(M)群:3ヵ月以降から1年未満,long-term(L)群:1年以降]に分け,各群の患者背景,再手術方法,日本整形外科学会腰痛疾患治療成績判定基準(JOAスコア),visual analogue scale(VAS)[腰痛,下肢痛],Oswestry Disability Index(ODI)を比較した.
結 果:ヘルニアに対してFED-ILを施行した909例のうち,65例でへルニアの再発に対して再手術が施行された.ヘルニア再発・再手術の危険因子は喫煙,糖尿病,初回手術前の椎間板高,後縦靱帯下脱出(SE)型ヘルニアおよびmodic変化であった.腰椎前弯角度(lumbar lordosis:LL),Cobb角,ヘルニアの頭尾側転位,年齢,性別,body mass index(BMI)に有意差はなかった.Recurrent群は再手術までの期間によりVE群が7例,E群が14例,M群が17例,L群が27例であった.VE群は他群と比べて有意に男性が多く,年齢が低かった.再手術方法はすべての群でFED-ILがもっとも多く選択され,VE群は全例でFED-ILでの再手術が行われた.VE群のJOAスコアは最終経過観察時においてM群より有意に高かったが,それ以外は有意差がなかった.VAS,ODIは各群に有意差はなかった.
結 論:FED-IL後にヘルニアが再発し再手術となった症例を7.2%に認めた.FED-ILは初回手術からの時間経過によらず,ヘルニア再発に対する手術方法として有用と考えられた.特に初回手術から2週間以内の再手術については,癒着の影響が少ないため最適な手術方法である.
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