前距腓靱帯の質は関節鏡視下外側靱帯修復術後の足関節安定性に寄与するのか

Anterior talofibular ligament remnant quality is important for achieving a stable ankle after arthroscopic lateral ankle ligament repair

【要　旨】

　目　的：慢性足関節外側不安定症（CLAI）に対する関節鏡視下外側靱帯修復術の術後成績に残存靱帯の質が影響を与えるか否かについては不明である．本研究の目的は，術前MRI T2強調画像における前距腓靱帯（ATFL）高信号と関節鏡視下で評価したATFLの質が，関節鏡視下外側靱帯修復術後の再捻挫に関係があるか否かを評価することである．

　対象および方法：CLAIに対して関節鏡視下外側靱帯修復術を施行された67例68足を対象とした．術前MRIのT2強調画像でATFL高信号の有無を評価した．また，関節鏡視下で残存ATFLの厚みと緊張性を確認し，残存靱帯の緊張性が保たれている群をpresent ATFL，緊張性が消失した群をabsent ATFLと定義した．術後評価項目は再捻挫の有無と足部足関節評価質問票（SAFE-Q）とした．

　結　果：13足に再捻挫を認めた．術前MRIのT2強調画像でATFL高信号を認める患者は有意に再捻挫が多かった．また，関節鏡でabsent ATFLと診断された患者も有意に再捻挫が多かった．一方で，T2強調画像低/高信号とpresent/absent ATFLの2群間で術後SAFE-Qに有意差はなかった．

　結　論：残存靱帯の質が低いと鏡視下外側靱帯修復術後の再捻挫につながるため，CLAI治療においては残存靱帯の質を評価する必要がある．