誌説
AI時代における真の知とは
加来 信広
1
1大分大学整形外科学教授
pp.1016-1016
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei75_1016
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どこの国,どの地域においても優れた先達者というのはいるものだが,「ペースメーカーの父」と呼ばれた病理学者の田原淳博士の生誕の地は,わが大分県である.幼いころから聡明であった田原先生は,開業医の後継者として養子に迎えられ,医学の道を志す.ところが,周囲の期待以上に向学心に富んだ若き田原先生は,義父に頼み込んでドイツへの私費留学を実現する.そこで生涯の師と仰ぐLudwig Aschoff教授と運命的な出会いをし,その後,地道かつ緻密な研究により,ついに哺乳動物の心臓の電気的刺激伝導路を発見するに至った.今から120年ほど前の話である.
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